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萌ゆる君5題 01.シーツにくるまる君

「01. シーツにくるまる君」


さわやかな朝のさえずりが響く中、合宿所のある一室だけ冷え切った空間となっていた。

西浦高校野球部副主将・阿部隆也のせいで。



「阿部、落ち着いてくれ」
「そうそう、そんなに睨むなって」
「キレるようなことか?」
「うーん、むしろ無邪気で可愛らしいというか」
「微笑ましいというか」
「癒される!」
「そうそう、リラックスできるよね」
「たしかに。こいつら身長も同じぐらいだし」
「末っ子コンビだもんな!」

――ドンッ!!!

「んな感想どうでもいいんだよ!問題は…」


なんで俺の隣にいた三橋があんな遠くの奴らとスヤスヤ眠ってるんだよ!!


「とりあえず壁は蹴るなよ」
「俺たちに言われても…な」
「当事者に聞かないとね」
「うんうん」
皆の視線は自然と膨らんだ布団に集まる。
そこには三橋の両側から泉と田島が抱きつくように眠っていて、三人とも幸せそうな寝顔だ。
秋の合宿にやってきて、大きめな部屋でいつも通り布団をひきぐちゃぐちゃに寝てはいたが。
まさかこんなことになるとは誰も予想していなかった。
いやこの事を異常なまでに問題視してるのは全ての意味で三橋命な阿部だけだろうが。
消灯時、確かに三橋は阿部の隣にいた。部員全員が証明できる。
もう一つ(多分阿部もこれを気にしている)その三橋が今、泉や田島と眠っているということは――…。
「三橋ってそんなに阿部の隣、嫌だったのかな~」
「っ!ば、ば…みずたに、おま…っ」
「んだと、このクソレフト~!!!」
「た、頼むから、落ち着いてくれー!」
水谷の誰もが内心思っても口にしなかった余計なひと言に当然阿部が激怒して。
キャプテン兼クラスメイトの花井が疲れ切った顔で仲裁している。
きっと7組ではこれが日常なんだろうと、花井に同情していると――。

「うるせーな、騒ぐなら外でやれよ」
「そうだ、そうだ。三橋が起きちゃうだろ」
どうやらこの騒ぎで泉と田島を起こしてしまったようだ、苦情を受けるような時間ではないが。
「やっと起きたか、ったく。さっさと準備しろよ」
仲裁役で疲れたのか覇気なく花井が廊下を出ていく、モモカンの元へ今日の打ち合わせにいくのだろう。
その背につられるように、トイレ、洗顔や洗濯、朝食の手伝いと各自理由を作って寝室から立ち去ってしまう。
残ったのは寝起きの泉、田島に未だ眠っている三橋。と悪役顔の阿部だけだった。
「どうしたよ、阿部」
「…なんで三橋、お前らと寝てるの」
「ああ、そのこと」
「泉たちが誘ったのか?」
「いや、三橋から来た」
「――…はっ?」


「「三橋が阿部の隣だと(ドキドキし過ぎて)嫌だから、ここで寝かせてって」」


瞬間一時停止して固まってしまった阿部に、泉と田島がニヤっと笑い合う。


「これぐらいは、いいよな」
「おう、昨日さんざん惚気聞かされたし」
昨夜深い眠りに入ろうとした頃、三橋が部屋のはしっこで泣いてるのを田島が素早く気づき。
話し声に起きた泉とで三橋を慰め、やっと笑顔になったところで三人一緒に寝付いたのだ。
泣いてしまった原因が大好きな阿部の隣ではリラックスして眠れない。
また眠れなかったことを阿部に知られると嫌われてしまうと自己嫌悪に至ってしまったようで。
そのため三橋を泣かせた人物に朝一番に精神攻撃をしてしまった、というわけだ。
だって弟みたく可愛がっている三橋が、阿部を想って泣いたのだ。
じれったいその想いに背中を押して応援したいけど、同時によくも三橋を泣かせやがってとも思ってしまう。
阿部の気持ちが三橋以外の誰にも向いていないことも知ってはいるが、それは俺たちが三橋に伝えていいことじゃない。
三橋と阿部、両者がもっと歩み寄るべきだ。お互いをもっと知りえるために。
一歩ずつ、踏み出して近づいていくべきだと思うから。
それに――。



「ん――あ、れ。いずみくん、たじまくん?」
「おはよう、三橋」
「よく眠れたか?」
「お、はよう!うんっ、あれから一回も、起きなかったよ」
「そうか、じゃ準備しようぜ」
「朝飯、朝飯!三橋顔洗いに行こうぜ」
「うん」
「い、泉くんも、一緒に行こう」
「ああ」
9組コンビは石化した阿部の横を仲良く通り過ぎていく。

「…み、みはし…」

阿部の悲しげな声を残して。



それに――もう少しだけ俺たちの『可愛い弟』でいて欲しいから。

簡単に三橋は渡さないよ……阿部。


END…?
…これアベミハなんでしょうか。むしろ9組ミハみたいな。
9組好きなのがすぐわかる作品ですね、愛してますから泉*三橋*田島コンビ!
これに浜ちゃんまで加わると最強。あれ、9組感想になってる(ヤ・バ・イ)
あまりに阿部が可哀想なのでおまけを用意しました。気になる方はどうぞ。



*******



騒動の夜。
朝のショックから未だ立ち直れない阿部は部屋の隅で眠れない夜を過ごしていた。
みんなも阿部の気持ちを察したのか、阿部の周りには誰もいない。
一人で眠るには十分なスペースだが、素直に喜べはしない。
切ない阿部の傍に、こっそり近づいてくるデリカシーのない影に睨みをきかせ振り返ると――。
「み、三橋っ」
「あ、あ、阿部くん。あ、あの」

一緒に寝ても、いいですかっ!

三つ指ついて土下座する勢いで頭を下げた三橋のふわふわとした髪を呆然と見下ろす阿部。
言いたいことは色々ある、俺の隣で眠るの嫌なんじゃないの…とか諸々。
だけど、そんな考えは三橋を目の前にした途端に払拭してしまった。
今、三橋は自分から阿部と一緒に眠ろうと言ってくれたのだから――。
「ああ、いいぜ……ほら、入れよ」
「う、うん!阿部くん、ありがとう」
「いいから早く入れ、冷えるぞ」
「う、ん」
ふにゃ、と頬を緩めて笑う三橋にたっぷり布団を掛け、阿部も瞳を閉じた。


――胸を満たす幸せな余韻を噛みしめながら。


「…阿部に貸し、一個」
「へへ、アイス奢ってもらおーぜ」



君の隣で眠らせて。それだけで、僕は幸せなんだ。



END
三橋の背中を押したのは当然あの二人。隅っこで落ち込む阿部を流石に可哀想に思ったようです。
翌朝、朝早く三橋は泉と田島に(静かに)起こされ、阿部が気づいたら三橋いない!
…みたいだったら笑えます♪(注意:私は阿部が大好きです
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コメント

お兄ちゃんズw

初めまして。
泉と田島の兄貴っぷりにときめいてしまいましたV

安部にいじわるするお兄ちゃんズが全く違和感無いですねw
そして色々考えちゃってる安部…
楽しませていただきました*
また来ます^^

ありがとうございます!

恵さん、はじめまして~!&いらっしゃいませ。
コメントありがとうございます(*^。^*)
わっ・・・お仲間ですね!泉と田島の兄貴っぷりイイですよね~(萌)楽しんで頂けたようで、とっても嬉しいです❤
アベミハ+9組が大好きなので、これからもドンドン出てくるかと思います(笑)
よろしかったらまたぜひ遊びに来て下さい!<(_ _)>
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