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VD企画 アベ*ミハ「チョコレート×××」

阿部隆也にとって、2月14日は特別な日ではなかった。
ここ十何年ぐらい前から始まった、菓子メーカーの策略イベント。
365日中たった1日のことであり、何の興味も湧かないイベントだった。
相手の名前も知らない人からは一切受け取らず、チョコだけ置いて行かれた場合は――自分では食べずに家族に渡した。
『バレンタインなんて来なくていい』というより、『そんなに夢中になることか?』という呆れにも近い気持ちだった。
今年もこれまでと変わらず、要領よく過ごすだけだと思っていた。

バッテリーで最近付き合い始めた三橋に、朝メールで起こされるまでは――。


「チョコレート×××」


「三橋っ!」
「あ、あべ、くん。お、おは…」
「おはようじゃねーよ!んで、こんな朝早くから俺ん家来てんだっ!!」
「うぅ…ご、ごめ…な…」
「な、…泣くなよ」

寒そうな肩に持ってきたコートを掛け、周囲を確認してから抱きしめる。
ぽんぽん、背中を叩いてやれば次第に落ち着いたのかやっと三橋は顔を上げる。
身長差のため潤んだ瞳で上目遣いになったアーモンド色に正直な心臓が激しく動き出す。

「あ、あべくん、…怒った?」
「怒ってねーよ……いや、全く怒ってねー訳じゃないけど」
「え…うぅ?」
「いやだから、…俺ん家に来たこと自体は怒ってねーよ。こんな薄着でつっ立ってたことにキレたんだ」
「そっかぁ、よかった」
「…んで、どうしたの」
「ん?」
「俺に用事があったんだろう」

じゃなきゃ三橋がわざわざこんな朝早くから俺ん家に来るとは思えない。
朝に弱い三橋がただでさえ早い朝練開始時間より先に起きてここまでやって来たのだ。
これはただごとじゃない、もしかして悪い知らせ――か。
抱き込まれたまま目と鼻の先にある阿部の真剣な表情に三橋は頬を真っ赤にさせながら口を開く。

「あ、あのね…おれ、阿倍くんに……作ったんだ」
「…は、なにを」
「――バレンタインのチョコ」
「……ま、マジで…?」
「うん。でね、昨日の夜に作り出したんだけど」
「まさか、練習後にか?おま…よく作れたな」
「……そ、それが…ね」

実はさっきからずっと気になってた――三橋の両手が背中に隠されてることが。
まさかバレンタインチョコを持参していたとは、考えもしなかったが。
三橋は受け取ってくれるかな…と視線で訴えられた俺は、ゆっくり頷く。
せっかく文字通り寝る間を惜しんで作ってくれたのだ、受け取らないはずがない。
それが三橋なら尚更だった。
ゆっくりお互いの身体を離して、阿部が手を差し出すと――。



――――ラップの掛ったボウルを渡された。



「――なに、これ」
「…チョコレートです」
「あー、チョコレートね、うん確かに…って、おいっ!!」

――原液かよっ!!!

「あのね、湯せんで溶かしてたんだ。そしたらね、おれ、途中でねちゃって、で、お母さんが」
「…そのまま冷蔵庫に入れちゃったわけ、ね」

――そこで代わりに型に入れておくとか、三橋を起こすなどの行動に出ないのは、やはり彼女も三橋の母たる所以だろうか。
ははは、と乾いた笑いをこぼすと三橋が阿部の手にあるボウルを自分の方へ引き戻そうとする。

「やっぱ、返して」
「なんで」
「だって、こんな、みっともないのあげられない。おれ、買いなおして…」
「俺はこっちのが嬉しいけど?」
「…え」
「だって、コレ、正真正銘三橋の『手作り』だろ?」
「あ…うん」
「だったら買ったやつよりこっちのがイイ」
「…ほんと?」
「――俺のために作ってくれたんだろ?」
「う、うん!おれ、阿部くんに、しか作ってない」
「なら、これ貰っていいな?」
「うん。貰ってくれると…」
「……ちがうだろ」
「え…あっ。…貰って下さい」
「おう、よく出来ました」

掻き回すように髪を撫ぜると、ふへへとやっと三橋が笑った――これが見たかったんだ。
最近は真正面から視線も合うし、よく大口開けて笑ってくれるようになった。
何よりこうやって阿部に対して「特別」な気持ちを伝えてくれる、それが本当に嬉しい。

「まだ時間あるだろ、家入ろうぜ」
「…いいの?」
「ああ、まだ親とか寝てるから静かにな」
「うんっ!ありがとう」

ほらっと手を差し出せば、すでに暖かい三橋の手がぴったり重なった。
その暖かさは三橋がリラックスしている証拠――すげー嬉しいもんだな。
…って人のこといえねー。俺だって手がホッカイロみたいだし。
朝から色んな事ありすぎて、しかも全部が嬉しいことばっかで。
バレンタインも捨てたもんじゃねーな、なんて思ったり。
それもこれも全部、こいつのせいだ。


――ちょっとぐらい仕返ししても、いいよな?


「三橋っ」
「な…に…んぅ」
「コレ、俺のもんだから、好きに使って構わないだろ」
「そ、それ…そーだ、けど…な、なんで。お、俺に」
「フルーツにチョコ掛けて食うのあるじゃん、それと一緒だろ」
「ち、ちがっ!く、くちに…塗っちゃ…」
「いいから――もう、黙れよ」
「……っ!!!」





――キスができない





「…ん…ぁっ…あ、あ、あべ…く…」
「んー…なんだよ」
「…じか…」
「あ?」
「あ、あされんの…じ、じかん」
「――っ!!早く言えよ、準備してダッシュで行くぞ!!」
「は、はい」


残ったチョコレートは冷蔵庫できっちり保存した――阿部のチョコレート×××はまだ終わらない。


END
今回のアベ*ミハにて、晴天@バレンタイン企画無事終了でございます!
やっぱアベ*ミハは安心します、書いててほっとしますね(^◇^)
阿部くん視点だとツンデレぶりがバレバレで面白い、本当に可愛い奴だな!
残ったチョコでチョコレート*プレイしまくるといいです(笑)
企画の最後までお付き合い頂いて本当にありがとうございました~<(_ _)>

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