FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

SWEET❤同盟

3月3日・・・といえば。


「SWEET❤同盟」


「し・のぉ~かぁ!」
「わっ、びっくりした・・・もう水谷くん!」
「ごめん、ごめん。そんなに驚くと思わなかったからさ」
「いいよ、大丈夫だよ。で、どうしたの」
「うん、あのさ」

週一回のミーティングのみで部活が終わる今日。
先ほど監督がお疲れ様、と部室を出ていき賑やかな雰囲気の中、雑務をこなす篠岡の背に水谷が声を掛ける。
クラスメイトでもあるし、そんな二人の姿はよくある、日常のひとコマだ。
他のメンバーも気にすることなく、帰る準備を続けていた。

「これ、あげる」
「え・・・あ、そっかぁ、今日って」
「うん。お雛様だからさ」
「ありがとう、あられ大好きなんだ!」
「よかった――コレ、一応いつもお世話になってるお礼」
「そんな私、マネージャーだから・・・」
「ち、ちが・・・ほ、ほら、それとは別にしのーかには・・・相談乗って、もらってる・・・し」
「――あ」

ようやく合点がいった篠岡に照れたように頬を染め、あはは、と水谷が乾いた笑いをもらす。
てのひらの貰った雛あられをじーと眺め、にっこりわらってもう一度ありがとうを繰り返す。
そしてぱっと立ち上がってカバンを漁る篠岡を周囲がギョと驚く――中。

「し、篠岡?」
「あ、あった!――これ、あげる」
「・・・へ」
「雛あられのお返しに」

篠岡と水谷が仲良くなるキッカケになったケーキ屋のバイキング無料券だ。
しかも。

「ペアだから、――くん誘って行きなよ」
「~~~!!」

篠岡が小声で耳元へ囁くと、水谷が声にならないのかパクパク口を開閉する。
ほら、と水谷の背中を押し、篠岡は素早くカバンを整理して教室を後にしてしまう。
まって、篠岡、と廊下に出て縋る水谷にまた明日ね、と笑いひらひら手を振る。

といっても水谷の視界にはもう自分は映っていないんだろうけど。


だって。


水谷の想い人が隠れるようにしてドアに凭れていたのだから。
お互い顔を真っ赤にさせ、向き合う二人を確認して、今度こそ篠岡は歩き出す。


夜に届くだろう水谷からの絵文字いっぱいの

読んでるこちらまで幸せになれる報告メールが来ることを確信しながら。



栄口、あのさ、これ・・・一緒に行かない?」



3月3日。女の子だけでなく、男の子にとっても記念日!・・・なのかも?

END
やっぱ書きたくなったので、突発で書いちゃいました。
篠岡と水谷がメインなのに女友達みたいなノリでございました。
水谷のお相手は・・・あの方しかおりません(最後の「」を反転すると・・・?)
こんな感じで水谷と篠岡、今回は出番が少なかった彼でまた書けたらいいな~。

スポンサーサイト

恋する10のお題 「恋のキューピット」

可愛いくせして芯がある――。



「恋のキューピット」



バンッ―!!

思いっきり屋上のドアを開け、隅のほうへ移動する。
周囲を見渡し、誰もいないことを確認すると三橋を壁に押し当てた。
強引ながらも大事なピッチャーである三橋の肩・腕を庇うことは忘れない。

「い、ず…、く…ぁ、ん…」
「…三橋」

何か問いかけようとする唇を己の唇で塞ぎ、強引に舌先を絡める。
急なことにびっくりしたのか、硬直した三橋の背を宥める様に撫で、キスを深める。
こうなった原因でもある小さくなった薄荷キャンディがお互いの舌を行き来する。
しばらくして呼吸が苦しくなったのか三橋が胸を叩く合図でやっと解くと、名残惜しげな透明色の糸を泉が舐めとる。
上気した頬に軽くキスして、そのまま首筋にかみつくように痕を残す。

「ひゃぁ…い、ず…み、く…」
「わり。着替える時、フォローすっから…」

今は俺の好きにさせて――。

シャツ越しに胸を弄る。見つけた尖りを指先で執拗に撫でると、次第に三橋の息が荒くなってきた。

「い、い…ずみく…そ、こ、…やぁっ」
「嫌?…ココ、もうこんなに…なってるのに?」

キュッと強く摘まむと瞬間、高い喘ぎ声が返ってきて泉が意地悪く笑うと、三橋が恥ずかしそうに俯く。
やべー。俺、ヘンタイかも…三橋が恥ずかしがるとこ――もっと見たくて堪らない。
俺しか知らない、三橋自身も見たことがない……三橋をもっと見せて。
今度はわざとらしく弱めに愛撫すると、じれったいのか身体が小刻みに揺れる。

「ぁ…ん…い、ず…く」
「…嫌なんだろ、止めるか?」
「………っ」
「ちゃんと言って。どうして欲しいの」
「…ぁっ!」

一瞬だけ強く刺激した後、もどかしい愛撫を繰り返すと耐えきれなくなった三橋が顔を上げる。
潤み蕩けたアーモンド色の瞳が泉を見上げる、それだけで滲む欲情を隠せない。
乾いた唇を舐める仕草にキスの衝動が抑えられなくなった頃――。

「…さい……ちょ、く…せつ……触って、下さい」
「…どこを」
「…っ……ココ、も、っと…っぁ…」
「わかった――三橋、」

――すげぇ……気持ちよくしてやるよ。

服の上からもわかる固く尖った乳首をシャツ越しに眺めキスすると、泉は待ち望んだとばかりに早々とボタンに手を掛けるのだった――。



「やぁ…!は、外さないで」
「なんで、もう限界だろ?」

肩に半脱ぎ状態のシャツを引っかけたまま、大人しかった三橋が急に暴れ出す。
泉の手がズボンのベルトに伸びたからだ。

「んぁ…で、でも、そこは…」

……汚いから。

「汚くねーよ」
「で、でも」
「―…全部、見たい」
「え」
「俺は三橋の全部、見たい。知りたい。それにお前は汚くない、すごくキレイだよ」
「ぇっ…き、れ…?」
「――好きだ、三橋」

お前の全部、俺のものにしたい。

「いず…く……ひゃぁっ!」

泉からの突然の告白に驚く隙に泉は三橋のベルトを外し、下着ごと脱がすと躊躇いなく三橋自身を口に含む。
苦い味が口内に広がり、三橋の限界が近いことを感じ取ると舌先で先端を抉る。

「ぁあんっ…い、ず…ぁっ!」

初めてする行為に泉自身が戸惑いつつも、三橋の表情で嫌がっていないことを確認すると両手で握りこみ、唇で含み、舌先で舐めとると三橋は一際高く喘ぐと泉の頭を抱える様にして欲情の証を泉に注ぎ込むのだった…。



喉を鳴らして残滓を飲み終えた泉の姿を呆然と見つめる三橋は、肩を揺らしながら荒い呼吸を整える。
顔を上げた泉は三橋の着衣を整えてやり、姿だけは元通りにしてやる。
泉の気持ちなど何も知らなかった三橋に戻してやることは出来ないけど――。
ボタンを留め終えた手に三橋が重ねてきた、その暖かい手になぜかほっとした。

「ごめ…俺、気が抜けちゃ…て」
「ちゃんと支えてやるから、安心しろ」

力が抜けたのかゆっくり凭れてきた三橋を受けとめながら、心の動揺を隠せない。
バカなことをした…とは思わない、思わないけど…三橋の気持ちを無視した感は否めない。
そこだけ、今さらだけど謝らなければ…と思う。例え許されなくても、三橋が許してくれるまで。

「泉くんは…」
「俺が、なに」
「……泉くんは、しなくて…いいの?」
「…ああ。俺はいいよ」
「で、でも…」
「いや、ほんと大丈夫だから」

――なら、三橋がしてくれる?

今にも漏れそうになった言葉を打ち消す。
こうなることをずっと恐れていたのかもしれない。
この気持を自覚してから三橋の全部が見たい、知りたいと思った。
そして、今日、他の誰も見たことがない三橋の素顔を知ることができた。

――あんな三橋の姿を知って、チームメイト、クラスメイト、友達に戻れるはずがない…。

それでも俺を友達としか思ってない三橋と身体だけとズルズルと付き合えるほど悪人にもなれない。
さっき告げた告白の本当の意味を三橋は理解できただろうか。
嫌われることを極端に怖がる三橋が流されるように俺に告白してきたら、どうする。
ありえない話しじゃないが道はひとつだ…突き放すしかない――それがどんなに辛くても。
俺が蒔いた種なんだから―…。
口を開こうと三橋と向かい合うと、珍しいぐらい真っ直ぐ視線を合わせた三橋が笑っていた。


連れ出す前に見た、あの無邪気な笑顔で。

澄んだ瞳に俺だけを映して。


「泉くん、俺…嬉しかったよ」
「―…うれしかった…?」
「うん、泉くんの気持ち…わかって。…俺も」

泉くんのこと、ずっと前から好きだった…から。

「…………」
「さ、さっき、は…急でびっくりしたけど…俺、泉くんとしたい。さっきみたいなのも全部。もっとしたいです…俺も」

泉くんのこと全部知りたいって思ってたから。

「だから、俺…泉くんがいいなら…泉くん?」
「―…お前って、ほんと…」

胸に占めてた罪悪感のかたまりが小さくなって、塗り替わるように感謝や愛しさに似た感情が湧き上がる。
想いの丈をこめて力いっぱい抱きしめれば、応える様に回るぬくもりに潤みそうになるのを顔を埋め隠した。

「お、おれ…気持ち良かった」
「…み、はし?」
「泉くんにしてもらったの、ずごく気持ち良かった。だから俺も…下手だけど」

――泉くんのしたいです。

震えた声と手、真っ赤な頬と耳で俺のベルトを外そうとする手をやんわり抑え、三橋から思考力を奪うような深いキスを――。


薄荷のキャンディが似合う――ついさっき恋人になった君へ。


END
薄荷キャンディ続編のしかも初のアダ…ルトということで…いかがでしょうか。
男前・泉好きとしては、ちょっと物足りないです。リベンジしたい(笑)
恋のキューピットは薄荷キャンディってことで。
これからも⑱作品書いていきますので、修行して頑張りまのでよろしかったら!(^◇^)

薄荷のキャンディ

薄荷の匂いの――運命の人。


「薄荷キャンディー」


9組の昼休み。
いつもの四人組で集まって売店で買ったパンや持ってきたお菓子片手に雑談する。
普段は食べるものがなくなるとすぐ寝てしまうが、今日は週一回あるミーティングのみ日だった。
放課後の練習がなくて嬉しいではなく、明日の練習が待ち遠しいというのが正直な感想だった。
しかし彼らも一応健全な高校生、たまにはくだらない事で騒ぎたくもなるわけで。

「マジ兄貴の奴、ひどいんだぜっ!一口つったのに…ひとの唐揚げ食いやがって!!」
「田島んとこはやっぱ食べ物競争、激しいな」
「遠慮したら負けだかんな、お客さんでも容赦なしだもん」
「うちは1人分ずつ盛ってとってあるから、一応問題ねー」
「平和でいいんじゃん」
「でも最後に食うから、残りもん多い」
「たっぷりメシは食うんだろ」
「ふりかけ掛けてな」
「あ…お、俺…俺もっ!」
「三橋も、ふりかけ?」
「う、うん。お母さんが夜勤のとき、に」
「そっか~。俺は冷凍モノが多いな」
「浜田、夜のバイトがあるもんな」
「ん、そろそろちゃんとしたメシが食えるかなって」
「なに給料日?」
「おう、明日な」
「やったー!!じゃ、明日昼になんか奢って!」
「おいおい、貧乏人に強請るな」
「いいじゃん、売店で買ってよ」
「…泉、俺の話し聞いてた?」
「聞いてたっす、浜田『先輩』」
「はぁ~…いいよ1人300円までね」

キラキラした瞳の田島、こういう時だけ後輩面の泉、どうしようかオロオロした三橋。
三人三様の表情を見渡して、観念したのか浜田はため息混じりに了承する。

「は、浜ちゃん…大丈夫?」
「大丈夫、大丈夫。三橋が気にすることねーぞ」
「泉……それ、俺のセリフ」
「よーし!俺、明日のためにちょっくら売店、偵察してくる!」

浜田も付き合えよ、と田島にしがみ付かれ明日の資本者・浜田が立ち上がる。

「古典までには帰ってこいよ」
「オッケー」
「た、田島くん、浜ちゃん。き、気をつけてね」

見送る三橋に手を振って応えた2人の背が見えなくなる頃、やっと三橋が席に戻ってきた。
向かい合う二人の間には未開封の箱菓子に散らばった紙くずが広がっている。
スナック系しか食べない泉には無縁なチョコ・飴・マシュマロに手を伸ばす甘党・三橋。
にっこり嬉しそうに笑いリラックスしたその表情をなんとなく見つめる。
ひとつずつお菓子を手に取り、アーモンド色の瞳を輝かせながら口に運ぶと顔中に「美味しい」を表す。

――本当に餌付けしがいのある奴だ。

机に無造作に置かれたお菓子のほとんどが三橋の為に用意されていることを三橋だけが知らない。
オーバーワークぎみで頑張り屋の我らがエースへちょっとしたご褒美。
ご褒美…とは与えている側の勝手な解釈かもしれない。
だって三橋はお菓子が食べたいから頑張ってるわけじゃない、きっと性分なんだろう。
泣き虫でちょっとしたことでウジウジするネガティブ思考な奴だけど、芯がある奴だから。
内心甘やかしすぎかな、と思わなくもないが…この表情を見たらもう退けそうにない。
むしろもっと、もっと見たくなる――その子犬のように愛くるしい笑顔を。

「サクマ*ドロップか、懐かしいな」
「うん、俺これ好きなんだ」
「何味が好き?」
「イチゴとメロンかな!…泉くん、は」
「レモンかな」
「甘く、ないから?」
「当たり。あと薄荷もよく食ったな」
「…………」
「…三橋?」

肩肘つきながら小さい頃を思い浮かべていると、三橋が急に俯いてしまった。
おい、と顔を上げさせると大粒の涙をぽろぽろ流していて、ぎょっとする。

「み、みはし?ど…どうし」
「おっおれ、……ちゃった」
「へ」
「は、はっ…か…さい、ごの、いっこ、た…ごめ…」
「あー」

『薄荷味の最後の1個を食べちゃった、ごめん』

理解できたところで「気にするな」と髪を撫でてやる。最初はビクビクしてた三橋も次第に落ち着いてきた。
最後にひと撫でして手を離すと、やっと涙も止まったようだ…瞳と鼻は赤いがこればかりは仕方ない。

「泉くん、本当にごめんね」
「気にすんな。別に今、食いたかったわけじゃねーから」
「う、うん」

むしろお前が泣いたことのほうが俺的にはショックなんだけど。
俺が泣かしたみたいじゃん、いや…泣かしたようなもんか、うわぁ…胃が、胸がキリキリしてきた。
阿部が日課のように三橋を怖がらせて泣かせる様を見て、俺はそんなこと絶対しない。
自分の行いで三橋を泣かすようなことはしないと密かに誓ってたのに。

――たかが、薄荷ドロップに破られるとはっっ!!

理不尽な怒りに燃える心を三橋には見せないようにこっそり溜息をつくと。
三橋が「あっ!」と何か閃いたかのように顔を寄せてきた…なぜか嫌な予感がする。
無意識に後ろに椅子ごと身を引いた泉に三橋は勢いよく立ち上がり、傍にやってきた。

「あ、あのね」
「…なに」
「薄荷、新しいのはないんだけど…」


「俺のでよかったら受け取ってください!」


あ、あの…三橋?
自分が今、なにしてるかわかってるか?
俺は歯医者じゃねーぞ、おーい。

…えっ…マジ何してんの、こいつ!!

なんで舌出してんの、俺、誘われて…て、そんな訳ねーし。あの三橋だぞ!
いや三橋が舌出そうが、口あけようが、そんなこと俺には関係ねーけど…むしろ可愛いけど。
目の前に差し出された真っ赤な舌の上には、対照的なまっ白い物体――はっか、だ…薄荷っ!?

…え、なに、それを俺に、受け取れと?…どうやって!え…う、う…嘘だろっ!!!

「…み、みは…?」
「は、はやくっ…と、溶けちゃうよ、い、ずみくんっ!」

ちょ、まっ…ここ教室なんですけど…なんか視線、痛いんですけどっ!

「いずみ、くん?」

あーーーもうっ!わかったよ、腹くぐればいいんだろっ!?

「三橋っ」
「いず…み、く……わっ!ま…待」
「いいから、来い!」

突然の泉の行動についていけないらしい三橋の腕を強引に掴み、教室を出る。
どこに向かうでもなく、とりあえず2人で話せるとこならどこでもイイ!
チャイム音をバックに三橋と二人歩き続ける――サボり?この際気にしない。



三橋、覚悟しろよ――俺を本気にさせた代償はデカイぜ。



END → NEXT「恋のキューピット(R*18)」
え…っと…当初の予定では「さわやか恋未満・イズ*ミハ風味」なお話しだったんですけど(笑)
しかも次回、え…ろ要素ありな予定になりました(まさか初めての⑱作品がイズミハになるとは!)
泉くんは普段スゲー男前でカッコいい分、突発的な出来事に弱くてキョドるとイイです。
タイトル通りあの方たちの歌をイメージしました、好きなんです。
では暴走した泉と無自覚な三橋の続きは近日「恋のキューピット」にて条件が合うレディ、ぜひお付き合い下さいませ。

準*ミハ 「かわいい人。」

僕を幸せにするのは、いつだって君なんだ。


「かわいい人。」


うわ…でかい口。
高瀬準太は好物の肉まんを両手でがつがつ食っている隣人に呆れにも似た視線をやる。
年下の隣人は先ほど近くのコンビニでショーケースに並んだ全種類を買い込むと、早く食べたいとばかりにこの公園のベンチまで走りだした。
自分は暖かい缶コーヒーを買ったが、こいつ――三橋は一切飲み物を買ってなかった。
あんなに食って飲み物なしでのど詰らないのか…そう思った瞬間、案の定苦しげな咳が聞こえてきた。
「おい、大丈夫か」
「…んっ…は、はい」
「焦らなくいいから、これ飲め」
「あ、ありがとう…ございます」
準さん、と正面から瞳を合わせてお礼をいう三橋になんだか胸の奥がじーんとなる。
夏の初戦後に再会した彼は酷くビクついていて、瞳以前に顔すらこちらを向かなかった。
その姿がマウンド上とあまりに違っていて、誰も知らないこいつの色んな姿を知りたくなった。
ちょっとしたキッカケだった、あの時の俺は予想もしていなかっただろう。

――初戦負けした対戦投手と付き合うなんて。

「準さん?」
「ああ、悪い。ちょっと考え事してた」
「考え事、ですか」
「…三橋のことだよ」
「え」
「三橋と偶然会って、メールしたり、休みに会うようになって――告白して付き合い始めた。
 きっと、どれが欠けてもダメだった…俺がお前たちのチームに負けたこともきっと」

今こうして三橋の隣にいるためのひとつだった。

「…ハハ、んなガラじゃねーか」
「わっ、わかり…ます!お、俺も似たこと思ったこと、あったから!」
準太が思い耽っている短時間に三橋はあの大量にあった肉まんを完食してしまったらしい。
ゴクリ、と与えた缶コーヒーを飲みほすと興奮したように返事が返ってきた。
「マジで」
「はい。だって準さん俺たちに勝ってたら、俺のことすぐ忘れちゃった…でしょ?」
「普通ならな」
「あれ、違うんですか」
「だってお前強烈だったし。試合中にあんなに爆笑したの初めてだし」
「おれ、おか…」
「可笑しいわけじゃなくて、なんかツボにハマった」
「ツボ…」
「そう。だから俺、お前といる時よく笑ってるだろ」
「…俺の顔が面白いから、でしょっ!」
拗ねる様に横を向いた三橋に、準太は内心喜びを隠せない。
本来の三橋は感情豊かだ、暗い中学時代がそれを曇らせていたのだろうが。
自分の前では全て晒してほしいと思う、今みたいに素直に色んな姿を見せてほしい。

もっと、もっと……三橋のことが知りたい。
俺のことも知ってほしい、三橋のことが大好きで仕方ない俺のすべてを。

「…幸せ、だからだよ」
「え」
「笑ってる理由。三橋と一緒にいると楽しくて、いつも幸せ感じてんの」
「し、幸せ…俺と、いると?」
「――好きな子といるんだから、当然だろ」
「…っ…準さんっ!!」
「わっ、み、三橋、どう…」
突進するように抱きついてきた三橋を動揺しながら受け止めると、子犬のように頬擦りしてくる。
うわ…天然ってこえー。ってかマジ可愛いんだけど、こいつ。
「お、俺も幸せ、ですっ!ずっと準さんと一緒にいたいって…か、帰り道別れる時はいつも胸がギュって苦しくなる…でもそれは、ムリだって分かってるし…わが…我が儘だし。でもその分だけ…」

もっと準さんのこと好きになる、昨日より今日、今日より明日。もっと、もっと。

「…どうしよう…俺、そのうち、パンクしちゃうかもしれない。じゅ…準さん?」
三橋を腕の中に囲い、なんとか顔を隠す――絶対赤い、しかもヤバい目が潤んできた。
どうしよう、はこっちのセリフだよ、三橋。
俺こそどうしよう…こんなに幸せでいいのかな、夢じゃないよな、今、スゲー怖い。
そうか幸せすぎると怖いってこんな感じなんだ、生まれて初めて知った。
手に入ったモノが大きければ大きいほど、失った時の反動もデカイ。
もしものとき、俺は正気じゃいられなくなるだろう――三橋を傷つけるかも、しれない。
でも――。

俺は三橋の傍にいたい、過去・現在含めて未来に続く道を。

一緒に歩いていきたい。

「三橋、パンクしそうになったらすぐ連絡しろよ。すぐ会いに行くから」
「は、はい!」
「まだ時間、大丈夫?」
「あ…そ…その、え…と」
「ダメか?」
「ち、違うんです!その、今日は親に…泊まってくるって、もう言って…あって」
「…え」
「だ、だって、あ…明日は準さんの誕生日…だから」
「……三橋」
「ぅう…め、迷惑です、か?」
「ちげーよ!嬉しいんだよ」
心臓バクバクだし、と三橋の手を誘導するとほんとだ、と無邪気に喜んでやがる。
誰もいない公園でよかった、さっきからずっと抱き合ってるんだぜ俺達。
ここは西浦と桐青の間にある地区だ、お互い知り合いがいないからこそ大胆にもなる。
それにしても今日は三橋のペースにすっかり巻き込まれ、なんとなく悔しかったので反撃とばかりに一言。
「プレゼントは三橋がいい」
「え」
「ダメか?」
意地の悪い問いだ。しかし相手は三橋だ、きっと言葉の意味を理解できないだろう。
馬鹿にしているのではなく、そういうことには無知な気がするからだ。
だから不思議そうな三橋に『なんでもない、明日までずっと一緒に過ごそうな』と返そうと思っていたのだ――が。
「おれ、前から準さんのものですよ」
「へ…?」
「準さんが俺のこと好きって言ってくれた日から、俺は準さんのもの…だから」
「………」
一時停止してしまった準太を三橋の大きな瞳が心配げに窺う――と。
「っ……帰るぞ」
「じゅ、準さん?」
腕の中から三橋を離すと、ベンチから腰をあげひとり歩きだしてしまう。
俺なにか嫌なこと言ったのか、と顔色悪くそのままベンチに座っている三橋を振り返って。
赤みが治まった顔で笑いかけながら、手を差し出す。
「何か食ってから、俺ん家、帰ろうぜ」
「は、はい」
尻尾を振るように嬉しそうに準太に駆け寄り、三橋は見かけに寄らず結構な力で握ってくる。
準太も負けじと握り合って、拮抗して赤くなったとこでお互い止めた。なんてことない事で笑いあって。
そんなことが自然とできる確かな絆が二人にはできた。

これからもその絆を大きく深く育んでいきたい――こいつと二人で。

「三橋」
「な、ん……っ!?」
「今日、まだしてなかったから」
「じゅ準さんっ!」
「家に帰ったら、もっといっぱい…しよう、な?」
「……はい」

ゆでタコみたいに真っ赤になった、かわいい君に。

笑いながら、もう一度キスをした――。


END
2月2日、高瀬*準太くんhappybirthday❤
遊びに伺ったサイトで知ったなんて…マジ、すんません準さん<(_ _)>
準*ミハは出会いとか告白など色々考えてますので、これからも更新がんばります。
それにしても準さんはいい男ですね、8巻の彼はバイブル♪でございます!(うふ)

「萌ゆる君5題」 02.不意打ちキスをしてきた君


02.不意打ちキスをしてきた君


――その瞬間、君は僕のもの。


「…あれ、三橋だけか」
「あ、阿部くん」
部室にドアを開けると、珍しく三橋しかいなかった。
振り向いた三橋は入って来た阿部の姿にいつも通りふにゃと笑う。
他の誰かがやったら気持ち悪いそれが、三橋だと別物だ。
無邪気な笑顔につい赤くなった顔の仕返しに、髪を撫で混ぜる。
「わっ…ぐちゃぐちゃ、だ」
「いいだろう、元々ふわふわしてんだから」
その髪だって三橋らしくて気にいって事は口に出さない。
きっと他の部員全員は気付いてるだろうけど、毎日こうやって弄るから。
「泉と田島は?」
「泉くんは日直だよ、田島くんは補習で遅れるって」
「はっ!?テスト週間でもあるまいし、なんで」
「今日数学、小テストあって…50点以下の人は再テストなんだって」
「…お前は大丈夫だったのか」
「う、うん!昨日阿部くんに、教えてもらったとこ、いっぱい出たから」
「そうか、よかったな」
「ありがとう、阿部くんっ」
会話しつつズボンを脱いだ阿部の背に、突如回された腕。
犯人は決まってる、この部屋には俺以外三橋しかいないんだから。
しかしよりによって片足立ちの時に抱きつく奴があるか、と内心キレつつ振り向くと。
「あっ…あのね!」
「んだよ」
「あ、あの…阿部くん」
いつになく真剣な表情で、潤んだ瞳、上気した頬。
そんな顔、部室でするな…歯止めがきかねーじゃねーか。後数分で他の奴らだって来るんだぞ。
逸らした視線の枠に、踵を上げたのか三橋の顔が、どんどん迫ってきて。
阿部の首が不自然に後ろへ曲げらたまま、関節が痛みだす。
そして二人の距離がなくなった瞬間――。


チュッ


本当に一瞬。
阿部と三橋の唇が重なって、音をたてて離される。
呆然と瞳を見開かせたままの阿部のシャツを両手で握りしめ、うつむいた三橋。
その耳は見るまでもなく真っ赤で。
握りしめた拳がぶるぶると震えている――って。
「そんな力入れて握んな、手痛めるぞ」
「あ、べくん…おこって」
「怒ってねーよ、心配してんの」
三橋に向き直って、三橋の両手を包み込む。
ぽかぽかしてるその暖かい手にお互い表情が緩む。
それはリラックスできてる証拠だから。
「なんで、急にキスしたんだ」
「あ、それは…」
「衝動的?」
「に、似てるけど、ちょっと違う」
「じゃ、なに」
「お、俺は口下手だから、阿部くんに色々言いたいこといっぱいあるのに、上手く話せなくて。でもちゃんと思ったことを伝えたいな、と思ってて。」
「大丈夫、伝わってるよ」
「うん、それもわかってるんだ。阿倍くんは俺のことわかってくれるって」
「お前、表情が正直過ぎるもんな」
「ぅうー。で、でもっ…言葉だけじゃ足りないから」
「…なにが」



「あ、阿倍くんが…大好きだよっ!…ていう、俺の気持ち」


「……っ」


「だから、これからも…キスしていいですか?」


阿部くん、大好きだよ。そう思った瞬間に――。



「…ったく、ほんとお前って」

みっともない顔を見られないように、腕の中に三橋を囲い入れる。
乱暴なまでに力いっぱい抱きしめると、応えるように回った三橋の細い腕。
腕の中から聞こえる、鼻歌のような笑い声。
たんぽぽのように、ふわふわな髪を何度も撫でながら耳元で囁く。


お前だけズルイぞ、俺もしたい


ぱっと顔を輝かせて上げた三橋の素早い動きに、笑いをこらえながら阿部は顔を寄せる。


先日知ったばかりの柔らかな唇に、甘くキスをした。



「あ、阿部くん…大好き…んっ」

「っ…俺も、だ」



何度も繰り返すキスと自然に零れる『大好き』という気持ち。


行きつく先は決まって君だから――。


『大好き』な君にだけ。



******



「花井、どうにかしろよ」
「なら泉、お前入って行けよ」
「ヤダ、まだ死にたくないし」
「俺ならいいのかっ!?」
「…骨は拾ってやる」
「ふざけんな、三橋はともかく、阿部は俺だって手に負えねーよ!」
「キャプテンだろ、一発キメてこい」
「って、押すな!」
「何やってんの、さっさと入ろうぜ」
「「た、田島!ちょ…まっ…開けんなっ!!」」


END

付き合い始めたばかりのアベ*ミハ。
三橋くんは天然なので、これぐらいやってくれそうです(可愛い)
阿部くんはいつも振り回されてるとイイ。たまに逆襲するといいよ。
友情出演は泉*花井*田島でした、西浦ズ全員書けなかったけど大好きだ!
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。